2023/7/20
分娩監視装置向けAI搭載データ解析ソフトを展開するspiker
8,300万円の資金調達実施
AI技術を活用して、分娩監視装置で計測される胎児心拍数陣痛図のデータ解析AI及び中央監視ソフト(「Alert-Monitor」)の開発を行う株式会社spiker(本社:千葉県千葉市、代表取締役CEO:笠井 綾子・杉本 大輔、以下「当社」)は、インクルージョン・ジャパン株式会社、株式会社DGインキュベーション等を引受先とする第三者割当増資を実施し、プレシリーズAラウンドにて8,300万円の資金調達を完了いたしました。
今回調達した資金をもとに、アフリカでの販売に向けた準備、AI研究、医療機器認証など、販売活動に必要な準備を進めます。
データ解析AI及び中央監視ソフト「Alert-Monitor」
(当社事業について)
アフリカをはじめとする途上国では、現在もたくさんの赤ちゃんが亡くなっています。
特に南アジア及びサハラ以南アフリカでは、年間390万人もの赤ちゃんが亡くなっており、その数は世界の周産期死亡数(※1)の95%に相当します(※2)。そのうち約40%は、分娩監視装置の胎児心拍数陣痛図(以下「CTG」)という医療データの活用による改善が期待できますが、(※3)途上国ではそのデータが上手く活用できていません。
本来、CTGのデータ判読には、各医療機関ごとに熟練した医師の指導のもと長期間の現場トレーニングを全ての助産師・看護師に実施する必要があります。
しかしながら、深刻な医療者不足(※4)に悩む途上国の医療現場では、そのような訓練の実施は困難を極める現状です。
そこで当社は、医療者の増員及び熟練医師による指導訓練がなくても、適切な医療判断をオンタイムでサポートできる、CTGデータ解析AI及び中央監視システム(Alert-Monitor)を開発しました。 当社のシステム導入により、医療者不足に悩む全ての医療機関で適切な医療介入の実現が可能になります。
(※1)世界保健機関(WHO)は周産期死亡を「妊娠22週から生後7日までの胎児・新生児の死亡」と定義している。
(※2)下記論文より引用
“2015年時点の全世界の周産期死亡数は410万件と推定されており、そのうち、95%は南アジア及びサハラ以南アフリカで死亡している。”
Akombi BJ, Renzaho AM. Perinatal Mortality in Sub-Saharan Africa: A Meta-Analysis of Demographic and Health Surveys. Annals of Global Health. 2019;85(1):106.DOI: https://doi.org/10.5334/aogh.2348
(※3)途上国の周産期死亡原因について網羅的に調査されている論文はないが、下記論文中では次のように報告されている。
南アフリカのムプマランガ州における周産期死亡の原因調査。4ヶ月で出産25,503件、周産期死亡687件が報告され、周産期死亡のうち271件は早期新生児死亡(分娩〜生後7日未満)だった。直接の死亡原因の分析では新生児仮死が106件報告された。
Allanson, E.R., Muller, M. & Pattinson, R.C. Causes of perinatal mortality and associated maternal complications in a South African province: challenges in predicting poor outcomes. BMC Pregnancy Childbirth 15, 37 (2015). https://doi.org/10.1186/s12884-015-0472-9
分娩監視装置の胎児心拍数陣痛図(CTG)は分娩時に利用するデータであり、胎児のWell-beingを観察するデータであることから、仮死状態で出生する新生児仮死の解決に貢献できるとした。
(※4)The World Bank Open Data (2018)を元に算出。
高所得国の人口1,000人あたりの医療従事者数
医師:3.2 看護師・助産師:11.3 合計:14.5
低所得国の人口1,000人あたりの医療従事者数
医師:0.3 看護師・助産師:1.0 合計:1.3
現地病院ヒアリングの様子
(今回の資金調達の目的)
当社は、今回の資金調達を通じて、以下の事業展開を行う予定です。
● アフリカでの販売に向けた準備
当社のAI解析搭載中央監視ソフト(Alert-Monitor)は途上国市場に存在しない製品のため、顧客である妊婦さんや病院に対して丁寧な訴求が必要となります。製品の効果や使用方法を正しく理解してもらうコンテンツの作成を行います。
● AI研究の促進
当社は創業当初からルワンダと日本の両国に研究拠点を有し、ルワンダ・インド・日本の3カ国から集まったエンジニアが研究開発に従事しています。日本の約5倍の分娩数があるアフリカで実証実験を継続しながら、高い技術力を持つ日本のエンジニアとの協業によりスピーディーな研究開発を継続します。
● 医療機器認証など販売に向けた様々なライセンスの取得
開発した製品の医療機器認証を取得するほか、今後の国際展開を鑑み、ISO13485などの国際ライセンスの取得を目指します。
(投資家からのメッセージ)
インクルージョン・ジャパン 取締役/ディレクター 吉沢 康弘氏
笠井さんと共に、ケニアにて新進気鋭の産院、国立の大型病院、街中の医院などを視察し、現場での実験状況の具体的な中身や、笠井さんがこれら医院の責任者・現場医師から高い信任を得て、確かなニーズを抑えている点を高く評価し、今回、リード投資家として投資意思決定致しました。「世の中に役立つものが、最も儲かる」という点を地で行く当社を、これから精一杯ファンドとして支援申し上げる所存です。
DGインキュベーション 前川 雅彦氏
創業当初からルワンダと日本の2カ国に拠点を持ち、地に足のついたグローバル事業の展開を目指す笠井さんの起業家としてのパワーと熱意を高く評価し投資いたしました。世界中にまだ多くの課題を抱える周産期分野での社会課題解決と、スタートアップとしての事業拡大の両方を達成する企業として大いに成長することを期待します。当社もファンドとして、spikerが社会課題を解決するスタートアップのパイオニアとなるよう全力で応援いたします。
当社は、「世界中に元気な産声を」という世界中の誰しもが望むビジョンの実現に向けて、世界中からチームが集まるマルチナショナルスタートアップとして社会課題の解決を目指して参ります。
現在、年内の延長ラウンドを実施中です。
投資をご検討いただける投資家の皆様は、下記のお問い合わせからご連絡ください。
(会社概要)
名 称:株式会社spiker(英語表記:spiker ltd.)
所在地:日本本社 千葉県千葉市稲毛区弥生町2-5
ルワンダ事業所 Remera, Kigali
代表者:代表取締役CEO:笠井 綾子・杉本 大輔
設 立:2020年11月
事業内容:分娩監視装置(CTG)のデータ解析AI及び中央監視ソフトの開発・販売
ホームページ:https://www.spiker.jp/
お問合せ先:info@spiker.jp